ひずみ集中帯の重点的調査観測・研究プロジェクト


>> 概 要

プロジェクト全体の研究目標及びサブプロジェクト等の構成


全体の研究目標(5年間の研究の全体目標)

 ひずみ集中帯の陸域及び海域において定常的な自然地震観測を行い、このデータに基づいて高精度な震源分布、3次元地下構造を得るとともに、制御震源等を用いた海陸の地殻構造探査、浅部地下構造調査等を行い、ひずみ集中帯の活構造、断層形状等を明らかにする。さらに、GPSによる地殻変動観測によってひずみ蓄積の現状を明らかにすると共に、活断層の地形地質調査に基づき、変動構造・地殻ひずみ速度を明らかにする。堆積平野における浅部・深部統合地盤モデルを構築するとともに、震源モデル化手法の高度化を行う。古地震等の歴史資料調査に基づき、過去の地殻活動を明らかにする。以上の結果を総合して、ひずみ集中帯の活構造の全体像を明らかにするとともに、強震動計算に基づく検証を踏まえて最終的な震源断層モデルを構築することにより、ひずみ集中帯で発生する地震の長期評価の精度向上や強震動予測の高度化に資する。

サブプロジェクト等の構成(構成と目標)

(1)自然地震観測

ひずみ集中帯の陸域及び海域において稠密な定常的地震観測網を構築して自然地震を観測し、このデータに基づいて高精度な震源分布を得ると共に、地下深部の断層評価や強震動予測に必要な地震波速度構造と非弾性の三次元的な分布を明らかにする。また、わが国でひずみが集中しているとされている地域において地震・火山等の調査観測を実施し、ひずみ集中帯における地震発生メカニズムの解明に資する。

(2)制御震源を用いた地殻構造探査

ひずみ集中帯の陸域及び海域において、制御震源を用いた大深度反射法・屈折法、高分解能反射法探査等を行い、ひずみ集中帯の活構造、断層の深部形状、地震波速度の絶対値などを明らかにする。

(3)GPS連続観測等による精密ひずみ観測

ひずみ集中帯において精密なGPSキャンペーン観測を実施し、ひずみ集中帯を横切る方向での地殻変動分布の現状を明らかにするとともに、得られた地殻変動分布を説明できる物理モデルを構築する。

(4)活断層の地形地質調査

ひずみ集中帯の陸域において変動地形調査、浅層ボーリング調査、空中写真判読調査等を実施すると共に、海域において音波探査による海底面調査を実施し、地表及び海底面の変動構造・地殻ひずみ速度を明らかにする。

(5)強震動予測高精度化のための調査研究

既存の表層地盤データの収集・整理、微動探査等により、ひずみ集中帯の平野部を中心とした浅部・深部統合地盤モデルを作成するとともに、この地域で起きた地震の震源特性を分析し、断層モデルに関する情報を総合して震源モデルの高度化を行う。強震動評価に基づいて本プロジェクトで構築される震源断層モデル及び地下構造モデルの検証を行う。

(6)歴史地震等に関する記録の収集と解析

ひずみ集中帯で過去に発生した大地震の地質学的、歴史学的、地震学的記録などの調査に基づき、過去の地殻活動を明らかにし、長期評価の精度向上に資する。


全体の研究計画及び年度別の成果概要


平成19年度

 陸域の観測で用いる機動的地震観測装置および海域の観測で使用する機動観測型ケーブル式海底地震計システム、さらに、ひずみ集中機構解明に資する調査研究を行うための機動的観測装置・機器等を整備する。

平成20年度

 定常的自然地震観測のため新潟地域等に機動的地震観測装置約300台、中越沖周辺域に海底地震計を設置するとともに、各地域のひずみ集中域においてひずみ集中帯機構解明のための調査観測を開始する。三条-弥彦沖55km区間で海陸統合地下構造探査を実施する。GPS観測機器を整備しキャンペーン観測用の2測線に沿う観測点を設置する。越後平野西縁で変動地形調査・ボーリング調査を行い、粟島周辺で極浅層音波探査を実施する。 新潟・山形・秋田地域で浅部地盤モデル作成に向けたデータ整備を行うとともに、これまでにひずみ集中帯で発生した地震の震源モデルの収集・分析を行い、その震源特性の特徴を明らかにする。ひずみ集中帯における評価対象の歴史地震の選択を行い、震度推定基準を定め震度データベースのプロトタイプを構築するとともに、庄内地震等の震度分布図、波形記録の収集を開始する。

平成21年度

 陸域及び海域での定常的地震観測、ひずみ集中帯機構解明のための調査を継続すると共に、機構解明データセンターの運用を開始する。会津-佐渡沖300km区間で海陸統合地殻構造探査を行う。能登半島沖から佐渡沖で総測線長2600kmの広域反射法探査を行う。前年度設置された2測線でGPSキャンペーン観測を実施する。越後平野両縁で変動地形調査・ボーリング調査を行い、新潟沖で極浅層音波探査を実施する。既存データ収集及び微動観測等により新潟地域の浅部・深部統合地盤モデルを作成するとともに、ひずみ集中帯で発生した地震の強震記録解析から震源特性の分析を行う。天長出羽地震などについて震度データベースを作成し、青森県西部・秋田県沖合付近の歴史地震を解析し、関東地方等で地震波形記録調査収集を行う。

平成22年度

陸域での定常的地震観測、ひずみ集中帯機構解明のため調査観測を継続し、秋田・山形地域に機動的地震観測装置約100台を設置するとともに、海域では機動観測型海底ケーブル式地震計を敷設する。東山-三島沖77km及び村上-粟島北方53km区間で海陸統合地殻構造探査を実施する。佐渡沖から新潟沖で総測線長2600kmの広域反射法探査を行う。GPSキャンペーン観測により初期的なモデルを構築する。信濃川断層帯で変動地形調査、空中写真判読調査等を実施し、海域で年代測定のための地層採取を行う。既存データ収集及び微動観測等により山形地域の浅部・深部統合地盤モデルを作成し、ひずみ集中帯で発生した地震の強震記録解析から特性化震源モデルのプロトタイプを構築するとともに、強震動評価に必要な震源断層モデル等を収集する。秋田・山形県沖合付近の歴史地震を解析し、近畿地方等で地震波形記録調査と収集を行う。

平成23年度

 陸域及び海域での定常的地震観測、ひずみ集中帯機構解明のため調査観測を継続するとともに、新潟地域で機動的地震観測装置約100台を移設する。六日町-直江津沖130km及び飯山-西頸城沖120km区間で海陸地殻構造探査を実施し、新潟沖から秋田沖で総測線長4000kmの広域反射法探査を行う。GPSキャンペーン観測を実施しモデル改良を行なう。上信越地域等で変動地形調査、空中写真判読調査等を実施し、粟島周辺の海底微地形調査を行う。既存データ収集及び微動観測等により秋田地域の浅部・深部統合地盤モデルを作成し、ひずみ集中帯で発生した地震の強震記録解析を継続して特性化震源モデルの高度化を行うとともに、強震動評価に必要な震源断層モデル等を収集する。山形・新潟県沿岸付近の歴史地震を解析し、九州地方等で地震波形記録調査と収集を行うとともに、過去の津波の地質学的な痕跡に基づく震源のモデル化を行う。

平成24年度

 定常的地震観測データに基づき高精度地下構造モデルを得る。ひずみ集中帯機構解明のための調査観測に基づき、ひずみ集中機構解明に向けたモデルを構築する。取得されたデータは、地震調査研究推進本部政策委員会調査観測計画部会調査観測データ流通・公開推進専門委員会で策定された「機動的地震観測のデータ公開に関する方針(平成19年2月2日)」にしたがって公開する。新庄-酒田沖300km及び花輪-能代沖350km区間で海陸統合地殻構造探査を実施し、秋田沖から庄内沖で総測線長4000kmの広域反射法探査を行う。GPSキャンペーン観測により、ひずみ集中帯を横切る詳細な地殻変動分布と物理モデルを構築する。羽越褶曲帯で変動地形調査等を、新潟沖大陸棚で海底微地形調査を行い、断層の平面的な分布を解明する。これまでに得られた地盤構造モデルを接続し、平野部を中心とした浅部・深部統合地盤モデルを作成するとともに、強震動予測のための特性化震源モデル構築方法を提案する。佐渡沿岸付近の歴史地震を解析し、中部地方等で地震波形記録調査と収集を行う。これまでに解析された過去の地震活動の結果や既存研究成果、及び各サブプロジェクトの成果を統合して震源断層モデルを構築し、強震動評価による震源断層モデルおよび地下構造モデルの検証を行うとともにひずみ集中帯における強震動の特徴を明らかにし、強震動予測、長期評価及び強震動予測の精度向上に資する。

サブプロジェクトの研究内容及び研究計画


(1)自然地震観測

ひずみ集中帯の陸域及び海域において稠密な定常的地震観測網を構築して自然地震を観測し、このデータに基づいて高精度な震源分布を得ると共に、地下深部の断層評価や強震動予測に必要な地震波速度構造と非弾性の三次元的な分布を明らかにする。また、わが国でひずみが集中しているとされている地域において地震・火山等の調査観測を実施し、ひずみ集中帯における地震発生メカニズムの解明に資する。

 1-1 陸域における自然地震観測(防災科学技術研究所)

 1-2 海域における自然地震観測(東京大学地震研究所)

 1-3 電磁気学的手法によるひずみ集中帯発生機構解明と機構解明データセンターの運用(東京大学地震研究所)

 1-4 活断層集中域および火山等ひずみ速度の速い地域における地震発生メカニズムの解明(京都大学防災研究所)

 1-5 ひずみ集中帯発生にかかわる地殻構造の研究(北海道大学大学院理学研究院)

 1-6 東北日本弧におけるひずみ集中帯の地震発生機構の解明(東北大学大学院理学研究科)

 1-7 構造的弱点におけるひずみ集中機構の解明(名古屋大学大学院環境学研究科)

 1-8 伸張場におけるひずみ集中メカニズムに関する研究(九州大学大学院理学研究院)

 1-9 ひずみ集中と地殻内流体変動の解明(東京工業大学 火山流体研究センター)

平成19年度

調査観測研究に使用する以下の機器整備を行う。

・定常的な自然地震観測

 1-1 機動的地震観測装置1式

 1-2 機動観測型海底ケーブル・インライン式地震計システム1式

・ひずみ集中帯の機構解明

 1-3 比抵抗構造探査装置1式、機構解明データサーバー1台

 1-4 活断層集中域稠密地震観測装置1式、活火山地域高品位データ観測装置1式

 1-5 自然地震観測装置1式

 1-6 データロガーおよび地震計1式

 1-7 地震観測装置一式

 1-8 伸張場地殻活動検出装置1式、伸張場地震活動観測装置1式、伸張場機動地震観測装置1式

 1-9 活動火口観測システム1式

平成20年度

 機動的地震観測装置約300台を用いて、新潟県を中心に観測点間隔が約3〜5km及び約10km程度の稠密・広域地震観測網、秋田県周辺に広域地震観測網を構築するとともに、新潟県中越沖を中心とする海域に自己浮上式海底地震計を設置し、定常的観測を開始する。また、ひずみ集中帯の機構解明のため、山形県南部周辺で比抵抗構造探査、石狩低地帯周辺で自然地震観測と比抵抗構造探査、琵琶湖西岸活断層集中域、庄内平野東縁断層帯周辺域、長野県西部等で自然地震観測、別府島原地溝帯周辺で地殻変動および地震観測、桜島・姶良カルデラおよび草津白根山で火山観測を開始する。さらに、ひずみ集中帯の機構解明のために取得された地震・地殻変動・地球電磁気データを管理・公開するデータセンターの開設準備を行う。

平成21年度

 陸域での定常的地震観測を継続するとともに、海域での自己浮上式海底地震計を回収し、機動観測型海底ケーブル・インライン式地震計の設置に向けた準備を行う。既存の高感度地震観測網Hi-net等も利用して高精度震源分布、稠密観測地域のトモグラフィー初期モデルを得る。また、ひずみ集中帯の機構解明のため、各地域における観測、測定を継続するとともに、山形県南部周辺の地殻・上部マントル比抵抗構造、琵琶湖西岸活断層集中域の活断層深部構造、庄内平野東縁断層帯周辺域の上部地殻構造推定等を行う。また、御嶽山周辺で集中観測、別府島原地溝帯での地表変形解析、桜島周辺での地震解析、草津白根山周辺での化学的観測データ解析を行う。さらに、機構解明データセンターの運用を開始し、各種データの関係者への公開を行う。

平成22年度

 陸域での定常的地震観測を継続し、ひずみ集中帯内外におけるトモグラフィー初期モデルを得るとともに、秋田・山形において機動的地震観測装置約100台による稠密地震観測網を構築する。海域では機動観測型海底ケーブル・インライン式地震計を敷設する。また、ひずみ集中帯の機構解明のため、山形県北部で比抵抗構造探査、別府島原地溝帯で機動的地震観測の移設を行うとともに、他の地域での観測、測定、解析、データセンターの運用を継続する。また、庄内平野東縁断層帯周辺域の最上部マントル構造、琵琶湖西岸活断層集中域のレシーバ関数解析による不均質構造の推定等を行うとともに、桜島、草津白根山周辺では時間変化に着目したデータ解析を行う。

平成23年度

 陸域および海域での定常的地震観測を継続し、変換波解析等を用いて地下構造モデルの改良を進めるとともに、新潟県内の稠密地震観測点約100台を移設する。また、ひずみ集中帯の機構解明のため、別府島原地溝帯で機動的地震観測の移設を行うとともに、他の地域での観測、測定、解析、データセンターの運用を継続する。また、山形県北部での地殻・上部マントルの比抵抗構造、石狩低地帯の比抵抗構造初期モデルの構築、庄内平野東縁断層帯周辺域の下部地殻構造、琵琶湖西岸活断層集中域、桜島周辺のトモグラフィー解析による不均質構造、御嶽山周辺では高精度震源決定および速度構造解析を行い、過去に実施された観測結果と比較するとともに、別府島原地溝帯での変形モデル構築を行う。

平成24年度

 陸域および海域での定常的地震観測を継続しつつ、当該年度中に機動的地震観測機器を回収する。これらのデータに基づいて観測対象領域全域における高精度3次元地下構造を明らかにし、震源断層深部形状に関するモデルを構築する。また、ひずみ集中帯の機構解明のため、各地域における観測、測定、解析、データセンターの運用を継続しつつ、これまでに取得されたデータに基づき、ひずみ集中帯の機構解明に向けたモデルを構築する。新潟県〜山形県、石狩低地帯においては、比抵抗構造や地震活動等の解析結果を総合し、ひずみ集中帯の機構解明に向けたモデルを構築する。琵琶湖西岸活断層集中域および桜島ではひずみ蓄積と地震発生メカニズムの解明を行う。庄内平野東縁断層帯周辺域では上部地殻から最上部マントルまでの構造全体を詳細に推定し、脊梁部と宮城県北部の最新の成果との比較研究により、ひずみ集中帯における地震発生のモデルの検証と改良を行う。御嶽山周辺では過去に実施された観測結果と比較し、高精度震源分布、速度構造などの解析結果に基づき構造的弱点におけるひずみ集中機構の解明を行う。別府島原地溝帯では伸張場におけるひずみ集中機構モデルを構築する。草津白根山周辺では、ひずみ集中に連動する地殻内流体の変化からひずみ集中機構の解明を図る。プロジェクト終了後は、地震調査研究推進のため、本サブプロジェクトで取得されたデータは地震調査研究推進本部の方針に従ってすべて一般に対して公開する。また、本プロジェクトで整備した観測装置および機器等については、プロジェクト終了後は受託機関において一元的に管理するとともに、研究機関からの依頼に応じ、これらの機器等を有効に利用可能な体制を整備する。

(2)制御震源を用いた地殻構造探査

 ひずみ集中帯の地質構造と浅部地殻構造を明らかにするため、陸域では高分解能反射法地震探査、大型起震車(バイブロサイス)や発破等を用いた大深度反射法・屈折法による地下構造調査を行う。また海域では、高分解能音波探査と、ストリーマーケーブル、海底地震計(OBS)等を用いた反射法・屈折法による海底地殻構造調査を行う。地殻構造調査は海域と陸域を統合して実施し、ひずみ集中帯の活構造、断層の深部形状、地震波速度の絶対値等を明らかにする。特に、1847年善光寺地震の震源域北方から、1964年新潟地震の震源域を稠密探査領域とし、海陸の構造探査を行う。また、日本海東縁の地殻構造・断層のイメージングを実施する。地震探査断面・地質・岩石情報をもとに地質断面を作製し、断層モデル構築のための基礎資料とする。以下の2つの課題を5ヵ年にわたって実施する

   

 2-1 反射法・屈折法による地殻構造調査(東京大学地震研究所)

 2-2 マルチチャネル等による海域地殻構造調査(海洋研究開発機構)

平成20年度

 三条-弥彦沖の55km区間について、海陸統合地下構造探査を行い、とくに1828年越後三条地震(M6.9)の震源域の地下構造を明らかにし、震源断層の形状解明に資するデータを収集する。既存の坑井資料や周辺の地質データをもとに地質断面図を作成する。測線沿いの活断層について高分解能反射法地震探査を実施する。海域では、中越沖地震震源域を中心に、深部構造に着目し既存反射法地震探査データの再処理を行う。

平成21年度

 会津盆地西縁から佐渡を経て大和海盆に至る300kmの測線について、海陸統合地殻構造探査を行い、ひずみ集中帯の外側までも含む地殻全体の構造を明らかにすることで、ひずみ集中帯の基本的な全体像を明らかにする。会津盆地・新潟平野下以西に関しては、稠密発震により反射法による詳細なイメージングを行う。特にこの測線沿いの新潟平野下における、1964年新潟地震と1828年三条地震との間にはさまれた空白域における震源断層形状解明に資するデータを収集する。既存の坑井資料や周辺の地質データを考慮して地質断面図を作成する。測線周辺の活断層については高分解能反射法地震探査を実施する。能登半島沖から佐渡沖の海域で「かいれい」による広域反射法探査を行う。総測線長は2600km。会津-佐渡沖海陸統合測線では海域測線沿いに、海底地震計30台を5km間隔で設置し屈折法地震探査データの取得も行い、陸上と併せて上部マントルまでのイメージングを行う。

平成22年度

 東山から三島を経て日本海に至る77kmの測線と、1964年の新潟地震の震源域を横切る村上から粟島北方の53km区間について、海陸統合地殻構造探査を実施する。東山-三島測線では、長岡平野西縁活断層系と中越沖地震の震源断層との関係、2004年中越地震北方の未破壊活断層の深部形状の解明を行う。村上-粟島測線では、1964新潟地震震源域の地殻構造のイメージングにより、震源断層の解明に資する資料を収集する。これらの測線沿いについては、既存の坑井資料や周辺の地質データをもとに地質断面図を作成する。また、測線周辺の活断層を横切る高分解能反射法地震探査を実施する。佐渡沖から新潟沖の海域で「かいれい」による広域反射法探査を行う。総測線長は2600km。新潟地震震源域の村上-粟島測線の西方延長では海底地震計30台を5km間隔で設置し屈折法地震探査データの取得も行う。

平成23年度

 六日町-直江津沖にいたる130kmの測線と、飯山-西頸城沖の120 kmの区間において地殻構造探査を実施し、2004年中越地震と1847年の善光寺地震の震源域にはさまれた空白域となっている地域に位置する信濃川断層帯と連続する断層群の深部形状を明らかにするとともに、1751年越後高田地震(M7.2?)の震源断層の解明に資するデータを収集する。得られた反射法断面については、既存の坑井資料や周辺の地質データをもとに地質断面図を作成する。また、十日町断層・高田平野東縁断層帯などの活断層を横切る浅層反射法地震探査を実施する。津軽沖の海域で「かいれい」による広域反射法探査を行う。総測線長は4000km。1983年の日本海中部地震震源域では海底地震計30台を5km間隔で設置し屈折法地震探査データの取得も行う。新潟地域の地殻・地質構造について、地質断面をもとに取りまとめを行う。

平成24年度

 山形県北西部酒田から新庄盆地東縁にいたる95kmの区間と、酒田沖200km区間の計300kmの区間で海陸統合地殻構造探査を行う。また、秋田県北部能代沖から花輪にいたる計350km区間(陸上区間100km)において、同様の海陸統合地殻構造探査を実施する。これらの測線沿いでは、江戸時代以降M7を越える被害地震が発生しており、活断層も多い。1833年庄内沖地震、1894年庄内地震、1983年日本海中部地震、1694年能代地震などの震源断層や活断層の深部形状を明らかにする。それぞれの海域測線では、海底地震計30台を5km間隔で設置し屈折法地震探査データの取得も行う。また、庄内平野東縁断層帯・能代衝上断層などの高分解能反射法地震探査を実施する。庄内沖から秋田沖の海域で「かいれい」による広域反射法探査を行う。総測線長は4000km。東北日本の日本海側および日本海東縁部の地殻構造に対して取りまとめを行い、断層モデルの構築に資する。

(3)GPS観測による詳細なひずみ分布の解明

 ひずみ集中帯における詳細なひずみ分布およびその集中メカニズムの解明を目的として、ひずみ集中帯を横切るようにキャンペーン用のGPS観測点を稠密に設置し、GPS観測によって各観測点の動きを精密に測定し、ひずみ集中帯を横切る方向の地殻変動分布を明らかにすると共に、得られた詳細地殻変動分布を説明できる物理モデルを構築する。

平成20年度

 ひずみ集中帯における詳細なひずみ分布を調査するために必要な観測機器を整備し、国土地理院GPS観測網GEONETのデータを有効活用できるように、ひずみ集中帯を横切る2箇所の測線(新潟県上越市から南魚沼市、柏崎市から南魚沼市)に沿って、それぞれ、2-3km程度の間隔でGPSキャンペーン観測用の観測点を設置する。さらに、年1回のキャンペーン観測を実施する。 観測としては、観測点に設置されたボルトにアンテナを固定して1?2週間の連続観測を実施する。年周変化の影響を避けるため、観測は秋に実施する。得られた観測データは周囲のGEONET観測点と一緒に解析し、毎日の精密な座標値を得る。

平成21年度

 GPS観測データ解析のための体制を整備すると共に、前年度設置された観測点において年1回のキャンペーン観測を実施し、データ解析を行なう。

平成22年度

 平成20年度に設置された観測点において年1回のキャンペーン観測を実施し、データ解析を行なうと共に、これまでのデータから初期的なモデルを構築する。

平成23年度

 平成20年度に設置された観測点において年1回のキャンペーン観測を実施し、データ解析を行なうと共に、自然地震観測や地殻構造探査などから得られる地下構造を参考にモデルの改良を行なう。

平成24年度

 平成20年度に設置された観測点において年1回のキャンペーン観測を実施し、データ解析を行なうと共に、各サブプロジェクトから得られる成果を参考に、ひずみ集中を引き起こしている地殻内の短縮変形の分布や断層幾何形状およびすべり分布などを推定し、ひずみ集中帯を横切る詳細な地殻変動分布とそれを説明する物理モデルを構築する

本プロジェクト終了後2年以内を目途に、地震防災のための調査研究に資するため、データセンターにおいて一般へのデータ公開を行なう。

(4)活構造の地形地質調査

 深部構造データと統合してひずみ集中帯における活断層・活褶曲の三次元分布形態等を明らかにし、塑性的な地殻歪み速度を明らかにするためのデータを取得するため、陸域では、変動地形調査、浅層ボーリング調査、空中写真等を用いた数値標高モデルの作成を行うとともに、海域では浅層音波探査やマルチビーム音響測深機による精密海底地形調査等を行い、 ひずみ集中帯における地表及び海底面の変動構造・歪み速度を明らかにすることを目標に、以下の3つの課題を5ヵ年にわたって実施する。

 4-1 陸域活構造の地形地質調査(東北大学大学院理学研究科)

 4-2 海域活構造の地形地質調査(産業技術総合研究所)

平成20年度

 越後平野西縁(長岡西縁断層帯等)において変動地形調査を行い、活断層の変位速度を解明するために、完新世における断層変位基準を挟むボーリング調査を行う。海域では、1964年新潟地震の際に海底に地殻変動が現れたと報告されている粟島周辺で、極浅層音波探査を実施し、断層を明らかにする。

平成21年度

 越後平野両縁の活構造を対象にして、変動地形調査、ボーリング調査を行ない、それらの断層変位量・変位速度を明らかにする。海域では、完新世堆積物が厚い新潟沖で、1964年新潟地震に関連した断層の極浅層音波探査を実施し、完新世の断層変位・変位速度を明らかにする。

平成22年度

 これまでの陸域調査の成果を基に、信濃川断層帯を対象にして、活動性を明らかにするために変動地形調査、空中写真判読調査、ボーリング調査、年代測定、数値地形データの解析等を行い、変位速度を解明する。 20・21年度の海域極浅層音波探査結果を参考に、断層の変位速度を推定するため、断層によって変位を受けている地層を採取し、年代を明らかにする。

平成23年度

 上信越地域を中心としたひずみ集中帯地域において、変動地形調査、空中写真判読調査、数値地形データの解析、ボーリング調査、年代測定等を行い、活構造の分布と活動性の評価に資する変位速度・隆起速度・傾動速度等を明らかにする。海域では、粟島周辺の海底微地形調査を行い、詳細な海底微地形図を作成し、断層と地形との関係を明らかにすることによって、断層の平面的な分布を解明する。

平成24年度

 出羽丘陵(山形県・秋田県)等羽越褶曲帯を中心としたひずみ集中帯地域において、変動地形調査、空中写真判読調査、数値地形データの解析、ボーリング調査、年代測定等を行い、断層の詳細な分布を明らかにし、これらの変位速度を解明する。海域では、新潟沖大陸棚で海底微地形調査を行い、詳細な海底微地形図を作成し、断層と地形との関係を明らかにすることによって、断層の平面的な分布を解明する。

(5)強震動予測高精度化のための調査研究

 ひずみ集中帯で発生する地震に対する強震動予測の高精度化のため、微動観測、ボーリング調査等を実施し、平野部を中心とした浅部・深部統合地盤構造モデルの作成を行う。また、この地域で起きた地震の震源モデルを収集するとともに、震源特性を分析し、断層モデルに関する情報を統合して、震源モデルの高度化を行う。さらに、強震動評価に必要な震源断層モデルの収集・構築と地下構造モデルの収集・調整を実施し、強震動評価による震源断層モデルおよび地下構造モデルの検証を行うとともに、これらの研究成果を統合し、ひずみ集中帯における強震動の特徴を明らかにする。

 5-1 浅部・深部統合地盤モデルの作成(防災科学技術研究所)

 5-2 震源断層モデル化手法の高度化(京都大学防災研究所)

 5-3 強震動評価によるモデル検証(東京大学地震研究所)

平成20年度

 新潟・山形・秋田地域で、自治体等が所有している地盤に関する情報の調査を行い、ボーリングデータ等の収集を実施し、当該地域での浅部地盤モデル作成に向けたデータ整備を行う。当該地域における深部地盤モデルをK-NET等の強震観測網により得られている観測記録及びシミュレーションを用いて高精度化する。ひずみ集中帯で発生した地震の震源モデルを収集し、その特徴を分析する。これまでにコンパイルされている内陸地殻内地震、プレート境界地震、スラブ内地震それぞれのスケーリングに対比して、ひずみ集中帯で起きている地震の震源特性の特徴を明らかにする。

平成21年度

 新潟地域での浅部地盤モデル作成を実施し、深部地盤モデルと統合し、浅部・深部統合地盤モデルを作成する。このため、既存データの収集を継続すると同時に、微動観測、ボーリング調査を実施する。ひずみ集中帯で発生した地震群のK-NET, KiK-net等での強震観測網で得られた強震記録を収集し、スペクトルインバージョン法などによって震源特性を分離し、応力降下量の地震規模依存性等を分析する。既往の内陸地殻内地震での震源特性と比較を行う。

平成22年度

 山形地域での浅部地盤モデル作成を実施し、深部地盤モデルと統合し、浅部・深部統合地盤モデルを作成する。このため、既存データの収集を継続すると同時に、微動観測、ボーリング調査を実施する。また引き続き、ひずみ集中帯で発生した地震群のK-NET, KiK-net等での強震観測網で得られた強震記録を収集し、スペクトルインバージョン法などによって震源特性を分離し、応力降下量の地震規模依存性等を分析する。既往の内陸地殻内地震での震源特性と比較を行い、ひずみ集中帯で発生する地震の強震動予測のための特性化震源モデルのプロトタイプを示す。ひずみ集中帯を対象に、強震動評価による震源断層モデルおよび地下構造モデルの検証を行う。そのため、強震動評価に必要な震源断層モデルの収集・構築と地下構造モデルの収集・調整を実施する。

平成23年度

 秋田地域での浅部地盤モデル作成を実施し、深部地盤モデルと統合し、浅部・深部統合地盤モデルを作成する。このため、既存データの収集を継続すると同時に、微動観測、ボーリング調査を実施する。ひずみ集中帯で発生した地震群のK-NET, KiK-net等での強震観測網で得られた強震記録を継続的に分析する。前年度の特性化震源モデルに、各サブプロジェクトにおける研究成果を統合して、さらなる高度化を図る。ひずみ集中帯を対象に、強震動評価による震源断層モデルおよび地下構造モデルの検証を行う。そのため、強震動評価に必要な震源断層モデルの収集・構築と地下構造モデルの収集・調整を実施する。

平成24年度

 前年度までに作成された各地域での浅部・深部統合地下構造モデルを接続し、ひずみ集中帯における浅部・深部統合地盤モデルを作成する。このため、既存データの収集を継続すると同時に、微動観測、ボーリング調査を実施する。また、前年度までの各サブプロジェクトにおける研究成果も統合して、ひずみ集中帯における強震動予測のための特性化震源モデル構築方法を提案するとともに、強震動評価による震源断層モデルおよび地下構造モデルの検証を行い、これらの研究成果を統合し、ひずみ集中帯における強震動の特徴を明らかにすることで、強震動予測の高度化に資する。

(6)歴史地震等に関する記録の収集と解析

 ひずみ集中帯で過去に発生した大地震の地質学的、歴史学的、地震学的記録などを収集、統合的に解析し、過去の地震活動の履歴を推定して、長期評価の精度向上に資する。古代〜近世の地震などに関する史資料を収集・統合的に解析し、ひずみ集中帯の震度データベースを構築する。加えて、過去の地震などの地質学的痕跡から試料を採取して、発生年代などを測定する。また、過去のこの地域の地震活動の履歴を詳細に検討し、長期評価の精度向上に役立つよう、近世以降明治・大正・昭和等の日本海東縁部周辺で発生した地震に関する資料を収集・解析する。近世以降は史資料から震度等を検討した解析を行い、近代以降は残存する波形記録の収集・整理を国内・国外で実施する。

 6-1 古地震・津波等の史資料の収集と解析(東京大学地震研究所)

 6-2 近世以降の地震活動に関する観測記録等の収集と解析(地震予知総合研究振興会)

平成20年度

 ひずみ集中帯における評価対象の地震の選択を行い、それらの地震についての史料データベースを、既存の古代・中世の地震・噴火史料データベースを利用するとともに、近世初期の史料を新たに収集して作成する。震度推定基準を定め、震度データベースのプロトタイプを構築する。さらに、震度データベースを地理情報システムと組み合わせて図化する。

   

 明治時代以降に発生した庄内地震、仙北地震、男鹿地震等について、被害分布などから詳細な震度分布図を作成する。これらの地震の波形記録の残存状況調査及び収集を他の調査等と重複しないよう注意して行う。国内は、青森県と岩手県の測候所の記録を収集する。海外は欧州のストラスブール、ゲッチンゲン、デビルトを調査する。

平成21年度

 天長出羽地震などについて、既存の史料データベースから各地の震度を推定、震度データベースを作成する。過去の地震・津波・火山噴火の地質学的な痕跡の調査を開始する。古代〜近世の歴史地震のうち、主に青森県西部と秋田県の沿岸から沖合が震源と思われる地震を解析する。地震波形記録調査と収集は関東地方の観測点と欧州で実施する。

平成22年度

 古代〜近世の歴史地震のうち、主に秋田県と山形県の沿岸から沖合が震源と思われる地震を解析する。地震波形記録調査と収集は近畿地方の観測点と欧州で実施する。津波波形・被害データに基づく過去の地震の調査・解析を実施する。

平成23年度

 古代〜近世の歴史地震のうち、主に山形県から新潟県沿岸が震源と思われる地震を解析する。地震波形記録調査と収集は九州地方の観測点とオセアニアで実施する。過去の津波の地質学的な痕跡に基づく震源のモデル化も行う。

平成24年度

 古代〜近世の歴史地震のうち、主に佐渡沿岸が震源と思われる地震を解析する。地震波形記録調査と収集は中部地方の観測点と米国で実施する。解析された過去の地震活動の結果と既存研究成果やプロジェクトの成果とを総合的に検討する。


|  防災科学技術研究所(NIED) |  地震観測網ポータルサイト |  地震調査研究推進本部 |
サイトポリシー | 免責事項 | 商標等
独立行政法人 防災科学技術研究所
〒305-0006 茨城県つくば市天王台3-1
Copyright (c) 2013 National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention, All Rights Reserved.